Gofield.com アウトドアフィールド情報サイト:トレッキングレポート:2001年03月のバックナンバー一覧
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鎌倉 子どもたちと歩く春の谷戸
鎌倉西部、広町の森。30年近く前から開発計画があったが、保全を求める市民の声で、今まで残ってきた約45ヘクタールの森だ。3月下旬、この広町で NPO「図書館とともだち・鎌倉」が「広町の春を歩こう」と題して自然観察会を開催することになった。子どもたちが自然とふれあうお手伝いができればと、参加を申し込む。イベント当日、森の入り口には、小学生とその保護者、約50人が集まった。地元のナチュラリスト、岩田功さんが、道と自然の案内人だ。
左手に見える広い谷戸へ。御所ガ谷(ごしょがやと)と呼ばれ、入り口付近に源頼朝側近の御所五郎丸の館があったとされるところだ。3年ほど前まで田んぼの耕作が行われていたが、今は休耕田となっている。まずは土水路を観察。ゲンジホタルやサワガニ、県の絶滅危惧種、ホトケドジョウもいるそうだ。「ここから海に注ぐきれいな水は、相模湾の保全にも役立っています」と岩田さん。また、土手には外国から入ってきたセイヨウタンポポよりも、在来で花のガクが反らないカントウタンポポが多くみられる。
道を途中で右に曲がると、小さな池に出る。子どもたちが指差す方向を見ると、ひも状のヒキガエルの卵塊が。そういえば昔、近くの田んぼで、泥んこになってオタマジャクシをとったっけ。池のほとりからは急な山道が始まり、ロープを便りに登っていく。山の中腹で、岩が垂直に切り立つ場所に出た。詳しい調査はまだなされていないが、昔、「かまくら石」が切り出された石切り場と伝わるところだ。『鎌倉市遺跡分布図』によると広町の森一帯は「竹ヶ谷城跡」に位置し、中世の遺構も残されているという。
しばらく登った後、なだらかな尾根道に出た。山中の分岐には、地元の人がつくった手書きの地図が立っている。しかし山中の道は曲がりくねっていて迷いやすい。また草が茂る夏にはマムシも多い。歩くなら、秋から春にかけて、道に詳しい人と行った方が無難だ。道の脇に、土が盛り上がった場所がある。モグラが土を掘った跡のようだ。モグラは、付近のフクロウなどのエサとなっているという。
伝説のサクラに会うために、右折し細い道を行く。ぽっかり開いた空間の奥に、10本以上の幹をくねらす巨樹が姿を見せた。満開の白い花が、空を明るく染めている。オオシマザクラという種類で、地元では〝稚児桜〟とも呼ばれ、次のような言い伝えがある。昔、五つの頭をもつ龍が、津村の長者の子ども十六人を飲み込んだ。後に丘の上に咲いたサクラを、人々は子どもの塚になぞらえ〝稚児桜〟と名づけたという。ゴツゴツした幹から、広町の自然の息吹が伝わってきた。道を戻り、再び尾根道を西へ進む。
「トトロのトンネルだ!」子どもたちが声をあげる。見ると、背の高いアズマネザサが道の両側に茂っている。地元の人の話によると、薪や炭に木を利用するために山の手入れをしていたころは、今ほどササやぶは多くなかったそうだ。当地では、ササやぶに好んで巣を作るウグイスの声をよく聞く。山の手入れが減り、ウグイスが好む環境が増えてきたようだ。ここで分岐を右手に曲がり、北へと下れば、やがて出発地点近くの広場に戻ることができる。
森をほぼ一周して出発地点に戻り、解散。手を振る子どもたちの目は、いきいきと光っていた。広町の森は、一部を除き事業者の土地だが、現在、都市林公園としての保全の方向性が検討されている。自然形態・森林形態ともに「神奈川県環境影響評価書」では最高のA1ランクに位置づけられ、「鎌倉市緑の基本計画」でも、市街化区域内の三大緑地として保全を図るべき場所にあげられているところだ。生きものあふれる自然を子どもたちに手渡すために、一人一人ができる範囲で、汗や、お金や、知恵を出し合っていきたいものだ。
※2002年10月、事業者は広町緑地の開発を断念すると表明。市が買い取り保全することで合意した。
-DATA-
- 場所:
- 神奈川県鎌倉市
- 交通:
- JR大船駅(湘南モノレール約15分)→西鎌倉駅(徒歩15分)→バス停白山橋そばの飲食店ガスト脇の道を左(東)へ→五郎丸橋を渡り道なりに約10分で広町の森入り口へ
- コース:
- 全て徒歩):広町の森入り口(15分)→右折(5分)→湿地帯より登り(15分)→石切り場(15分)→尾根(15分)→分岐を右へ(10分)→サクラ巨木(10分)→尾根(15分)→ササヤブ右折(20分)→広町の森入り口
- 駐車場:
- なし
- トイレ:
- 森の中には無い。森入口付近の鎌倉市役所腰越支所にあり
- 参考文献:
- 井上六郎『時のながれ 津村のながれ』1991
鎌倉市『鎌倉市緑の基本計画』1996
鎌倉市教育委員会『鎌倉市遺跡分布図』 - その他:
- 広町の道は、足場が悪い上、分かりにくい。できれば地元の市民団体のイベントに参加を
歴史と文学の里の山「天覧山」
奥武蔵の清流沿いで梅花が開き、甘い芳香を南風にのせている。自宅から仕事場まで片道約3キロを自転車通勤しているのだが、朝な夕な芽吹き直前の樹木や草や土や川面を渡る風さえもが、ネクタイ姿の私を盛んにフィールドへと誘うので、ともするとそのままどこまでもペダルを漕ぎ続けたい衝動に駆られてしまって本当に困る。そこで解消を図ろうと、里山トレッキングに家を出た。向かうのは、緑と清流のまちの飯能市のシンボル「天覧山」である。
飯能市街地の北西に位置する天覧山は標高わずか195メートルの低山だ。山というよりはどちらかというと小高い丘と形容したほうが適切かも知れない。この山にハードな山登りの靴は不要、スニーカーで十分。同山は手軽に楽しめる市民の山。だから、夏の早朝、近所のお年寄りたちが頂上から何人も下りてくるなんていう光景にも出くわす。さて、今回のトレッキングの起点に設定したのは飯能河原。入間川が大きく蛇行し、そこに砂利が堆積して形成されたのが飯能河原で、浅い流れと広い河原が特徴。夏にはクヌギやコナラなどの河畔林が緑陰をつくり、小さな子どもも安心して水遊びができるのと、飯能駅を下車して徒歩約15分という立地条件の良さから、シーズンになると涼を求めて大勢の家族連れが来訪する飯能を代表する� �楽地だ。西武飯能駅を下車し北口駅前広場を左に折れ、稲荷消防分署横を通過、全国でも珍しい子ども専用の市立図書館(ログハウス風)を右手に見ると、飯能河原は目前。歩行者専用橋の「割岩橋」を渡り切り、袂左側の坂道を下れば、流れの辺りだ。
川風を受けながら河原を渡り、さらに名栗村へ通じる県道飯能名栗線を横断すると、飯能市の文化活動の拠点施設ともいうべき、市立郷土館と市民会館の施設が右手に現れる。郷土館は飯能の埋蔵文化財包蔵地の所在を示した立体模型や縄文から近世までの遺物が展示されているので、興味ある人は立ち寄ってみるといい。正面に明治維新の「飯能戦争」の舞台となった能仁寺の山門。明治元年5月。上野の山に立てこもっていた幕府方の彰義隊の一部、振武軍は江戸を追われ、飯能まで逃走。そして能仁寺を本陣として官軍を迎え撃ったが、本陣の同寺は圧倒的な兵力を誇る官軍の砲弾を浴びて飯能のまちとともに焼け落ちた。参謀の渋沢平九郎は敗走、飯能から故郷の熊谷へ通じる峠を下ったが、官軍の兵士に見つかり、峠沿いの流れ の辺で腹を切り、22歳の生涯を閉じた・・・これが飯能戦争。焼失した本堂は昭和11年に再建され、現在に至る。
山門をくぐり本堂に向かって歩く。本堂手前を右に折れ、しばらく境内を進み、左折して登り口。同寺の参道も兼ねているのでコンクリート舗装されているが、スギやヒノキの木立と広葉樹の混交林が両側から迫り、そして頭上をも覆っているので、さながら緑のトンネルのよう。一年を通してトレッキングが楽しめる天覧山。夏期、山頂から下り、この辺りまで来ると樹間を吹き抜ける緑の涼風で、たちどころに汗もひいてしまう。ツツジやサクラなどを愛でながら、中腹の広場にたどり着く。整備が行き届いた広場には浄化槽完備の公衆トイレ、東屋やベンチが設けられ、休祭日にはいろとりどりのデイパックを背負ったハイカーたちが休憩する。「これからのバックパッキング」(ジョンハート著、日本語版監修・芦沢一洋)の中� ��落ち着いた色のパックを選び、自然に溶け込むことを提唱する「パックの色にもインパクト効果を配慮したい」という趣旨の記述がある。異論もあると思うが、全面的に支持したい。さて、広場上段でルートは直進と右折とに分岐する。右を選択すると、神久山(168メートル)から太郎坊(200メートル)を経て、西武秩父線の高麗駅方向、あるいは天覧山の後背に位置する多峯主山(271メートル)へと尾根づたいに向かう。ここは直進して、山頂をめざそう。
再び登山道は二手に分かれるが、今回は岩場を楽しむ左ルートをとることにする。やがて、右手側の切り立った岸壁に露座の石仏が出現するが、これが元禄年間、将軍綱吉の生母桂昌院が奉納したといわれる十六羅漢。鏡岩と呼ばれる岩場を抜け、一気に登り詰めれば、すぐに山頂だ。開けた展望台からの眺望は良く、飯能市街地、富士山、丹沢も遠望できる。手軽に登れる山として首都圏の中高年ハイカーたちに人気の高い同山はまた、飯能市民の散策の場でもある。さらに、時期になると、自然保護に関心の高いバードウォッチャーたちがオオタカやサシバ、ハチクマなどの確認にこの展望台を訪れる。
現在の呼称は天覧山だが、羅漢山(らかんざん)、古くは愛宕山(あたごやま)とも呼ばれていた。明治16年の明治天皇登頂で今の呼び名になったが、羅漢山の名称は、飯能を舞台に書かれた三島由紀夫の長編「美しい星」(昭和37年)の「四角いモダンな公会堂の純白の建物は、すぐうしろの羅漢山のくろぐろとした夜の塊りから浮き出し・・・・」の文中にも現れる。現在、公会堂はなく、跡地には大型の木製遊具が設置された中央公園が整備され、子どもたちの歓声が響いている。同著をひもとき探索したのなら、天覧山トレッキングもまたひと味違ったものになるかも知れない。
-DATA-
私のユニオン郡の明日の天気予報です
- 場所:
- 埼玉県飯能市
- 交通:
- 西武池袋線飯能駅下車、飯能河原まで徒歩15分。池袋駅から飯能駅まで特急で約45分。
- 駐車場:
- 天覧山下公園(中央公園)。4月1日から同公園で「飯能さくらまつり」が開幕する。
- トイレ:
- 今回のコース起点となる飯能河原、天覧山下公園、天覧山中腹広場。いずれも水洗。
- 味:
- 飯能河原に面したクヌギ林の中に蕎麦屋「櫟庵」。手打ちのそばとうどんは美味。そば饅頭やそばプリンなども。
- ミュージアム:
- 天覧山下公園に近接して飯能市郷土館。縄文土器や中世の遺物が常設展示されている。入場無料。月曜休館。ロビーに見学者用のお茶が用意してあるので、トレッキングに疲れたらちょっと寄り道して頂いてしまおう。ただし、他の利用者もいるので喉を潤す程度にとどめること。
鎌倉 生きものの地名を訪ねて
「お猿畠」「むじなが谷」という場所が、鎌倉にあるという。ほのぼのとした言葉の響きに惹かれ、どんなところか見てみたくなった。鎌倉駅から、まずは浄明寺のバス停を目指す。春の鎌倉は観光客が多い。人の流れについていくと、滑川にかかる華ノ橋を渡り、ほどなく報国寺に到着することができた。寺の門を右手に見ながら、奥にのびる脇道を進む。にぎやかに響いていた人々の声が、パタリと途絶えた。
静かな宅間の谷戸の道を行く。傍の小川を、落花したヤブツバキが回りながら流れていく。じきに舗装路はつき、石段を上がり山道へ入った。中腹でちょっと一休み。春の息吹を感じながら、石の上で腰をおろす。黄緑色のつり鐘のようなキブシの花が、木々の梢から垂れ下がる。さわらび色のゼンマイが、あちこちで頭をもたげている。のんびり休んでいる間にも、5、6人が通り過ぎた。地元の人々の、生活の道になっているようだ。
ゆるやかなカーブをしばらく上ると、宅造地ハイランドに出る。道なりに小山の右手の原をつっきって行く。池のある広場を経て、分岐点に出た。道標に従って道を左手、名越切通し方面に取れば、子ども自然ふれあいの森に出る。そのまま南へ直進。ちらほらと咲くタチツボスミレが、足元を薄紫色に彩る。馬の背のような尾根道をいくと、やがて周囲に岩盤が露出し始めた。
ふいに左側に開けた空間が現れ、眼下に梅林や畑、逗子方面の山々が広がった。この一帯が、お猿畠と呼ばれるところだ。その奥に立つのは法性寺の中国風の塔。足元を見れば、切り立った断崖がそそり立っている。これは昔、敵の侵入を防ぐために岩を削ってつくられた遺構、「切り岸」と呼ばれるものだ。さらに前進し、二基の石廟のある広間を抜けると、道は2つに別れる。左へ下る道を行けば、先ほど上から見たお猿畠を経て法性寺に抜けることができる。
梅の花咲く境内に入ると、岩壁の南面に穴が開いている。ここは、幕府や他宗徒を罵倒したとして攻撃を受けた日蓮を、白猿が導き救ったとされる場所だ。岩山の上には、猿神の恩に報いるための山王権現の祠がある。石段を降り、振り返って山門を仰いだ。「猿畠山」と書かれた額をかかげる格好で、白猿の像が彫り込まれている。鎌倉にニホンザルがいたという話は聞かないが、野生の生きものたちが身近にいたからこそ、彼らが人を助けるという逸話も生まれ得たのだと思う。
ふと道端の石塀を見ると、地元の自然保護団体による看板がかかっている。この名越の森にも、開発が迫っているらしい。絶滅が心配されるオオタカも、この森にすんでいるそうだ。まだ日は高い。このまま逗子駅に向かってもいいのだが、道をいったん引き返し、「むじなが谷」を経て鎌倉側に抜けることにした。先ほどの石廟の先の分岐点へ戻り、今度は右の道を直進する。しばらく行くと、右手、東側に枯れ野原が広がる。これがむじなが谷だ。
「むじな」とはアナグマの古い呼び名。今は見られないが昔は鎌倉にも多かったようで、化かされたことがある、と語るお年よりもいる。そんな生きものもひょっこり顔を出しそうな、草むらの踏み跡をたどる。左手の林間にのびる細い道は、次第に険しくなる。引き返そうとも思ったが、横着して無理やり突破してしまった。最後は木の根にしがみつき、垂直の崖を下る羽目に。山道で焦ると、方向感覚もおぼつかなくなる。これが「化かされた」ということか。無茶な行動をする者に、自然はバチを下すのだろう。桃の花咲く畑で一息ついて、静かな谷戸を後にした。
-DATA-
- 場所:
- 神奈川県鎌倉市
- 交通:
- 鎌倉駅より徒歩
- コース:
- 鎌倉駅(徒歩30分またはバス)→報国寺(徒歩20分)→子ども自然ふれあいの森(徒歩15分)→石廟先の分岐
1.左折(東へ徒歩5分)→法性寺(徒歩約10分)法性寺バス停
2.右折(西へ徒歩10分)→むじなが谷(徒歩約20分)→名越バス停 - 駐車場:
- 無し
- トイレ:
- 鎌倉駅より先コース上には無し
- 参考文献:
- 御所見直好『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
浄明寺太郎『鎌倉なんでもガイド』金園社 - その他:
- むじなが谷のふもと(第7段落で紹介)へは、名越切通しへ向かう途中に立ち寄れる。
むじなが谷の中の道を通り抜けるのは危険。
東京湾の小さな船旅!葛西臨海公園へ
お元気ですか?もう3月ですね!季節もようやく春といった感じです。私は今、花粉症に悩まされながらもレポート作成に励んでおります... さて、今回のスポットは、これからの本格的な春の季節を考えて水上バスで行く海辺のウォーキングスポットやビューポイントをご紹介させていただきます。
れでは、いつものように本題へ! 場所は、東京都江戸川区臨海町六丁目。アクセスですが、今回は水上バスを使います。まず、東京駅からJR山手線で浜松町駅へ!所要時間5分、運賃150円(3/18現在)です。南口改札を出ると「日の出桟橋方面」へ行く案内が出ていますのでそれに沿って進んでください。首都高速都心環状線の下の海岸通りを渡ると「日の出客船のりば」が見えてきます。徒歩約10分といったところです。そこから「葛西臨海公園ライン」の水上バスで約1時間のクルージングをする予定になっています。
「日の出客船のりば」について時計を見るともう12時25分でした。今回は朝に雨が少し残っていたので出発時間が遅れてしまいました。まずは船の運航時間をチェックです。客船のりば内に電光掲示板があり、次の「葛西臨海公園ライン」の出航予定時刻が13時と表示されていました。乗船券売り場で行き先を言って乗船券を買います。「葛西臨海公園ライン」は、片道800円です(小人は半額)。また客船のりば内には売店や自販機、トイレ、パンフレットなどがあります。私の場合は出航までまだ30分ぐらいあったのでまずはトイレ休! この「日の出桟橋」からはレインボーブリッジやお台場方面など、東京湾の風景を一望することができ、なかなかのビューポイントを演出してくれますので待ち時間を気にせずに待つこともできます。 今回は朝に雨が降った影響で現在は晴天ですが景色が全体的にもやっていて「レインボーブリッジ」が蜃気楼のように見えました。また、ここで記念写真をとる人も多いのでひな壇も設置してあります。
待つこと30分、水上バスが見えてきました。この「日の出桟橋」から運航している水上バスは全部で15種類あるそうで今回乗船するのは「ジュビリー」という水上バスで定員530名の後部デッキが水面に近く水との一体感を楽しめるそうです。乗船案内とともにさっそく乗船しました。乗船する人数が少なく船内は広々とした感じです。エンジン音とともにまもなく出発。東京湾内ですので波も静かで船酔いする心配もほとんどありません。また、海風がほのかに心地よく吹いていてとてもいい感じです。これから約1時間のクルージングに期待感のボルテージはいっそう高まります。船内にはきれいで明るくトイレもあり、安心して船旅を満喫できる雰囲気です。
さて、船はレインボーブリッジと平行して東京湾を進んで行きます。うーんこの船からみるレインボーブリッジは実にいい感じです。形や大きさがダイナミックに伝わる感じで「絶景ビューポイント」といってもいいでしょう。乗船客のカメラが一斉にフォーカスを合わせていました。私も負けずにデジカメで... 反対側には晴海埠頭が見えます。それにあわせてカメラも右往左往していました。少しすると船はパレットタウンへ。少し前まで世界一の大きさを誇っていた大観覧車が見えてきました。そこからさらに「青海橋」、「夢の大橋」、「あけみ橋」の下をくぐり有明方面に進みます。この橋の下をすれすれに船が通過する感覚はとてもスリリングです。最後に「有明ふ頭橋」をくぐると東京ビックサイトを筆頭に東京ファ� ��ションタウンと呼ばれる有明の近代的なビルが「ゆりかもめ」のレールに沿って見えてきました。また、ここから低い橋の下をくぐらなくなるので船の上部が開放され海風を受けながらパノラマで風景を見ることができるようになります。私も早速、上部のデッキへ... それにしてもビックサイトは実際に見ると大きく近代的なデザインです。ビックサイトを背景に記念写真を撮る人も多かったです。私も記念に一枚。さて、船は、有明から新木場方面へ進みます。途中、木材の香りが風にのってかすかにただよっていました。また、東京ヘリポートが近くにありますのでヘリコプターが正面に見える「若洲橋」の上空を何機も飛び立つのが見えました。ここまでくるともう「葛西臨海公園」が見えています。前日の午後3時にオープ� ��したばかりの日本一の大観覧車も見えています。前述のパレットタウンの大観覧車を抜いて現在、日本で一番大きいとのことです。全高117メートル、回転輪の直径が111メートルと世界でもイギリスに続いて2位ということだそうです。と言う訳で船も葛西臨海公園の発着所に到着です。約1時間の船旅を終了。早春の風と太陽の光を浴びて心地よい船旅でした。
ロイヤル峡谷の橋を建てた人
ここ葛西臨海公園は荒川と旧江戸川に挟まれた東西2kmの埋立地につくられた海に面した公園で昭和60年1月から葛西沖開発土地区画整理事業の一環として工事に着手し、平成元年にその一部をオープンしました。現在は、臨海部の自然環境を取り入れて、「緑の浜辺」、「都民の浜辺」、「楽しい浜辺」、「頼もしい浜辺」の四つを計画のテーマに造られた公園だそうです。いやー広いです!目の前には東京湾の水平線が広がり、園内には「展望広場」、「汐風の広場」、「中央広場」、「芝生広場」と憩いの場も多くまた、水族園、鳥類園、人工なぎさなど家族やカップルで楽しめる場所も盛りだくさんで1日では足りないくらいの広さです。実際、本日もカップルや家族連れで賑わっていました。ビューポイントとしては全面ガラス張� ��の展望レストハウス・クリスタルビューからの風景で人工なぎさや東京湾の眺めはとてもきれいでした。食事は園内にレストランや売店、区立ホテル(ホテルシーサイド江戸川)内のレストランなどありますがお弁当を持参することをお勧めします。やはり「空と海と緑のおりなす風景でお弁当を食べる」これが一番だと思いますよ。ウォーキングポイントとしてはやはり人工なぎさです。これは公園の沖に三日月形の人工なぎさが東西にあり、東なぎさは鳥類保護区になっていて立ち入りが制限されていますが、西なぎさは「葛西渚橋」で公園と結ばれていて西なぎさの浜辺にでることができます。私も早速、西なぎさに向かいました。人口の白い浜辺が遠くまで続き、ここからは東京ディズニーランドが遠くに見えていました。沖合には 、高洲、三枚州と呼ばれる浅瀬が広がり、ハゼや海鳥たちの絶好の生息場所となっているそうです。午後の日差しと静かな波打ち際の散歩はとても贅沢な時間を感じさせてくれます。カップルにはお勧めです。
今回の葛西臨海公園は潮風と共に広々とした自然に親しめる公園でした。また、前日オープンしたばかりの日本一の大観覧車や水族館、鳥類園などはウォーキングレポートを中心にしていますので割愛させていただきましたがご家族やカップル、友達同士でも十分に楽しめるスポットです。次回も楽しいレポートを送信できるようにがんばりますのでお楽しみに!
-DATA-
- 場所:
- 東京都江戸川区臨海町6-2
- 交通:
- 東京駅からJR山手線で浜松町駅下車。南口改札を出て「日の出桟橋方面」へ。
「日の出客船のりば」から「葛西臨海公園ライン」の水上バスに乗船。 - 駐車場:
- 葛西臨海公園に有料駐車場あり。問い合わせ(03-3877-0725)
- トイレ:
- 葛西臨海公園内に障害者用トイレも含めて15ヶ所点在。水上バス内にもトイレあり。
- 昼食:
- 葛西臨海公園内のレストラン2件(ブルーマリン、マリンビュー)、売店2ヵ所。
- 施設:
- 葛西臨海公園入場無料。
◆大観覧車
・平日はAM10:00~PM8:00
・大晦日は、オールナイト
・料金は一般、一人一回、700円(3歳以上)水上バスの乗船券を持っていれば割引あり。◆葛西臨海水族園
・AM9:30~PM5:00(但し、入園券の発売はPM4:00まで)
・休園日は毎週水曜日(但し、水曜日が祝日、都民の日にあたるときは開園し、翌日に休園)と年末年始(12月29日~翌年1月1日)
・料金は一般700円(団体560円)、中学生250円(団体200円)
※小学生以下、65才以上、都内在住・在学の中学生は無料
※団体は有料対象の方20名以上◆葛西臨海鳥類園
・9:00~16:30
・入場無料◆水上バス
・日の出桟橋発は10:00~16:00までの各定時に運行。
・料金は大人片道800円(小人は半額)
Bowen島 二つのトレイル
Bowen島
前回ご紹介したKillarney湖のハイキングに続き、今回は4Kmの短いDorman Pointトレイルと17Kmの長いうえに標高差もかなりあるMount Gardnerトレイルをご紹介していこう。まずは、Dorman Pointトレイルへ向かおう。入り江の先にあるSnugピクニックエリアへと進む。たくさんの小さな店の裏、Government Roadを少し上り、左に行ったところからアクセスできる。Dorman Pointトレイルはピクニックテーブルのある所をすぎ、2Km離れた岩の絶壁の急な坂へと続く。Whytecliffe公園は本土のまん前で、天気が良ければEdmowment Lands大学は、遠くからでも見えるはずだ。来た道を帰るのも良し、またRobinson RoadとDorman Roadで違った散歩を楽しむのも良し。
次に向かうMount Gardnerトレイルは他の二つのトレイルに比べて標高差もあり、少し長丁場だ。ブリティッシュコロンビア州の夏は夜10時近くまで明るいものの冬は5 時ともなると暗くなり始めるため、出かける時間にはくれぐれも注意したい。Mount Gardnerトレイルの入り口に行く一番簡単な方法は、フェリー乗り場をまっすぐGovernment Roadを上り、Bowen島コミュニティースクールの近くのMount Gardner Roadを右折していくというものだ。リサイクルの貯蔵所を越え、Killarney湖ピクニックエリアへと向かう。遠回りだがもう少し魅力的なルートは、Killarney湖の川はけのピクニックエリアまで前にご紹介したハイキングコースを従っていくものだ。
ダムからその道をそのまま行くか、湖岸にアクセスできる砂利道を右回りに湖畔に沿って進む。ここで橋を渡り、左に見えてくるトレイルを探すと湖からは離れていく。Mount Gardner Roadにたどりつくと、右へ進路をとり、次の左へのルートが出てくるまでそのまま進む。舗装された道はここで名前を変え、砂利道の坂道が続く。急いでいる場合やマウンテンバイクの場合は、補助道をそのまま頂上まで行こう。そこから20分ほどMount Gardner Roadを登るか、入り口のすぐ向こう側の車両通行禁止エリアまで歩かなくてはいけない。この先を少し行くと、Skidトレイルのわかりやすい目印が見えてくる。まず左に下り、小川を渡るとまた上り坂になりサルノコシカケなどを目にすることだろう。重たくなり始めた足が気になるのもわかるが、ときにはそれらの巨大に育ったサルノコシカケにも目を向けてみよう。このルートは、トレイルの分かれ道まで30分ほど上り坂が続く。右はMount Gardnerへの近道、左はShort Cut(近道)と名づけられた森の道へと進んでいく。Mount Gardner Southトレイルについたら近道を取ってみよう。近道は右手に出てくる。40分ほど右に歩き、Oldトレイルの急なジグザグの上り坂を行く。756mの南の頂上、South Peakにたどり着く。やったあ、頂上だ。北の頂上、North PeakはHowe Soundの入り江をパノラマで見渡せる。北の頂上の下は超短波送信の敷地になっている。
Mount Gardner Northトレイル経由で戻るとKeats島やSechelt半島などの景色が楽しめる。Bluewater トレイルやBowen Bayトレイルで山を降りるのは避けたほうが良いだろう。月曜日から金曜日までの朝と昼のラッシュアワー時、1時間おきにバスは運行されている。4時から 6時の間は、Bowen Bay Roadにつく。バスは、毎時間20分すぎにBowen Bayトレイルのふもとの道路の前から出る。バンクーバー周辺エリアではバスチケットは共通だ。時間が許せば、バンクーバーに戻ってからも使うことができるので、バスに乗り込んだときバスの運転手から乗り換えチケットをもらっておこう。
-DATA-
- 場所:
- ウエストバンクーバーの先に浮かび、バスとフェリーでバンクーバーから1時間半ほどのところに位置する。
- アクセス:
- Bowen Islandには水上タクシーもあり、連絡先はCormorant Marine (604)947-2243、(604)250-2630または、Bowenタクシー(604)947-0000。
- 駐車場:
- Horseshoe Bayにあり
- トイレ:
- Horseshoe Bay、フェリーの中、フェリー降りたところ(Bowen島)
■Dorman Pointトレイル
- 難易度:
- 容易
- 距離:
- 4Km
- 所要時間:
- 1.5時間
- 標高差:
- 50m
- 季節:
- 年中
■Mount Gardnerトレイル
- 難易度:
- 難しい
- 距離:
- 17Km
- 所要時間:
- 6.5時間
- 標高差:
- 756m
- 季節:
- 年中
◆Bowen島バス
所要時間: 23分
Bowen島内のみは1ドル。
通常のチケットなら島外も使用可。
- ■船着場発
- 5:40am 6:30am 7:30am 8:25am 3:50pm 4:45pm 5:45pm 6:45pm
- ■Bluewater発
- 5:13am 6:03am 7:03am 7:58am 8:48am 4:17pm 5:17pm 6:17pm
四阿屋山
四阿屋山は山腹に花の名所の多い山である。四阿屋山(あずまやさん)は標高771.6mと低いので体力的には楽に登ることが出来る山だ。秩父の山のほぼ中央の両神村(りょうかみむら)に位置している。山の東山腹にフクジュソウ(福寿草)の自生地が二箇所と花しょうぶ園がある。また南東のふもとにはセツブンソウ(節分草)の自生地がある。フクジュソウとセツブンソウは初春のほぼ同じ時期に咲くというので、今年の山歩きシーズン最初の足慣らしを兼ねて、出かけることとした。
秩父鉄道の終点である三峰口駅から、バスに乗る。バスはやまあいを走り、25分ほどで薬師堂バス停に着く。両神神社横の遊歩道を登って行き、しばらく行くと花しょうぶ園があるが、花の見頃は6、7がつである。まだ葉が出てきていない雑木林の間を登って行くと、最初のフクジュソウ自生地の寺沢フクジュソウ園地に着く。元々、自生していたのだが、補植して増やしているという。寺沢フクジュソウ園地を過ぎてしばらく行くと、下りになって車道を横切る。左側に自家用車用の駐車場があって、車で来る場合にはここに駐車できる。車道を過ぎて尾根伝いの登りが続く。まだ葉の出ていない木々の間から雪の多く残る山々が見える。下の方に紅白の梅が咲いている。車道を過ぎて約25分で山居フクジュソウ園地に着く。展望休憩 舎というあずまやがあって、秩父の山々の展望が楽しめる。斜面一帯にフクジュソウが咲いている。寺沢フクジュソウ園地と合わせて1万株のフクジュソウがあるという。花屋で見かけることの多い黄金色の花は、太陽の光を集めようと、パラボラアンテナのように花びらを広げている。ここから約30分登ると771.6mの四阿屋山の頂上に行けるが、今回は登らずに、セツブンソウを見る為に登りとは別の道を降りていくこととした。
低体温症による死亡
展望休憩舎から階段を降りて、山居広場方面へ行く。山居広場を過ぎて、、黒橋バス停方面に下る。車道に出たら、この車道を南西方面へ緩やかに登っていく。節分草祭りと書かれている"のぼり"が並んでいて、節分草園地が近いことが分かる。堂上(どうじょう)バス停が見えて、右側には駐車場がある。ここからはなおも車道を歩き5分ほどで節分草園地に到着する。雑木林の斜面の落ち葉が敷き詰められた中で、思っていたよりずっと小さい花が咲いている。白く輝いているような小さな花、これが節分草である。園内には散策路が自生地を囲むようにめぐらされており、ゆっくり歩いても20分ほどで一周できる。節分草は山野草業者の盗掘に遭いやすく、自生地を一般に公開している場所は貴重である。地元の方の保護整備によっ� �観察できるのであるから、節度を持って園内を回りたい。花を近くで見たいからとか、写真を撮りたいからと、ロープの中の自生地へ足を踏み入れたりする事の無いように注意したい。水が流れているところにザゼンソウが出ていた。またセツブンソウが終わりに近ずく頃、アズマイチゲも咲くという。
フクジュソウの見頃は2月中旬から3月下旬、セツブンソウの見頃は2月下旬から3月下旬である。標高が高いこともあり、この時期は東京付近よりかなり寒く感じる。またバスの本数が少ないので、人数が多いときはマイカーかタクシーが便利である。また秩父鉄道主催の電車とバスを利用したツアーに参加する手もある。(写真は上から、山居フクジュソウ園地、登山道脇の梅、福寿草、節分草園地、節分草)
帰りにトレッキングの汗を流したいときのお勧めの温泉を紹介する。
両神温泉 薬師の湯 10:00~20:00 大人\600 子供\240
薬師堂バス停の前
-DATA-
- 場所:
- 埼玉県秩父郡両神村
- タイム:
- 計2時間50分 登り:薬師堂バス停(5分)花しょうぶ園(40分)寺沢フクジュソウ園地(40分)駐車場(25分)山居フクジュソウ園地 下り:山居フクジュソウ園地(10分)山居広場(25分)黒橋バス停 緩い登り 黒橋バス停(15分)堂上バス停(5分)節分草園 緩い下り 節分草園(5分)堂上バス停
- 鉄道・バス:
- 行き:秩父鉄道 三峰口駅から両神村営バス小鹿野町行きで25分薬師堂下車
帰り:堂上バス停から両神村営バス小鹿野町行きに乗り、小森で両神村営バス 三峰口駅に乗り換え - 車:
- 関越自動車道 花園ICから秩父市方面に向かい、国道140号から小鹿野(おがの)方面さらに両神方面に向かう
- 駐車場:
- 寺沢フクジュソウ園地の近く、節分草園近くの堂上バス停前
- 自動販売機:
- 無し
- トイレ:
- 花しょうぶ園、寺沢フクジュソウ園地近くの駐車場そば、節分草園近くの堂上バス停前駐車場
- 携帯電話:
- ほぼ圏外
- 公衆電話:
- 薬師堂バス停付近
鎌倉 聖域「御谷」の森づくり
鎌倉市の広報紙を見ていたら、「御谷の山の手入れ」への参加募集があった。御谷は「おやつ」と読み、鶴岡八幡宮の裏山一帯を指す。山に囲まれた場所を谷戸というが、御谷は鎌倉に多くある谷戸のなかで唯一「御」の字をつけて呼ばれる神聖な森だ。入ることができないと思っていた場所を、ぜひこの機会に訪れてみたいと、電話で参加を申し込んだ。主催団体の鎌倉風致保存会は、ほぼ毎月一般の参加者を募り、市内各所で森林ボランティアを開くNPO。今回の森の手入れは、ハイキングコースの整備が主な目的だ。
イベント当日は、さわやかな青空が広がった。鎌倉駅から小町通りを抜け、そのまま北に直進して豊島屋寮横のわき道へ入る。普段は柵で囲われている広場の門が開き、中に50人ほどの人々が集まっていた。まずは皆で準備運動。どうやら森の手入れの常連さんが多そうだが、「初めて来ました」という一般参加者や子どもたちの姿も交じり、和やかな雰囲気だ。後に参加者は、草刈りをする班と、丸太を組んでの階段づくりをする班に分かれる。初心者の私たちは、ノコギリやカマで山道の回りの枯れ木や草を払うことになった。
いざ、今日の作業の現場に向かう。山道を進むと、道端に石積みの塀のようなものがある。「これは『堀切』。馬に乗った敵が上ってくるのを防ぐための、昔の遺構です。」保存会の方は、時おり立ち止まって興味深い話をしてくれる。「集合した広場の北に見えた高い峰は、弘法大師の修行の場といわれます。またこのあたりには僧坊が多く点在し、『二十五坊』と呼ばれていました。」辺りの景色が秘める歴史的な意味を知ると、これから始める山の手入れも、より意義あることのように思えてきて気合が入る。
作業場所に到着。細い山道をアズマネザサや枯れ木が覆う、人通りの少ない場所のようだ。鎌倉の山は手入れされる機会が減っているため、暗い森が多い。枯れ枝を払い、草を刈って森に光を入れることで、明るい林を好む生きものもすめるようになる。カマを振るうとザクザクと小気味良い音が響き、みるみる道が広くなった。保存会の方は、「アオキはすぐ生えてくるからどんどん刈っちゃっていいよ」と豪快に言う一方で、なかなか見られないカゴノキに「これは貴重品だ」と目を細める。気の知れた友達のことのように自然を語る人々を見ていると、普段は見えない深い世界の入り口を覗かせてもらったようで、嬉しくなる。
ウグイスの歌を聴きながら、作業の合間の一休み。「これはタイワンリスのかじり跡です。」見るとあちこちの木の樹皮に、線状の傷がついている。江ノ島で飼われていたものが逃げ出して繁殖し、植物にも大分被害を与えているようだ。こうした山の変調や原因は、日々現場に接していなくては、なかなか見えてこない。すでに鎌倉市内に、林業を本職とする人はいないといわれる。山に入ることを暮らしの一部とし、自然をとりまく日々の動きを自分のことのように感じられる人々にこそ、山の未来を語る資格が与えられるように思う。
もう大分日が高くなった。仕事に区切りをつけて広場に戻る。刃物を洗い、さび止めをかけて後片付けだ。一段落したところに、薪の炎で温められた味噌汁が配られた。フキノトウのほろ苦い風味に舌鼓をうてば、参加者同士の会話も弾む。「御谷の山は、日本最初のナショナルトラスト地、といわれているんですよ。」開発の計画が進むなか、昭和39年市民がお金を出し合って森を買い上げ、守ったのだそうだ。「こうしてちょくちょく手入れをして、春や秋には皆で梅やクリの実を採るんです。」市民が自分の庭のように愛着をもって接する山には、見る者にも安心感を与える落ち着きがある。
解散後、整備した道がどこへ通じるのか知りたくなった。北へ向かってしばらく行くと、山中の四つ辻へ出た。道端にハンモックが揺れる東の方角へ向かえば、西御門の住宅地へ出る。また西の方角へ降りる杉木立の道は、建長寺の回春院へ。北へ長く上る道は、天園ハイキングコースの十王岩付近へと続いた。所在を見極めた後、再び南へ引き返す。南端まで歩くと、第二中学校のグラウンドわきに出た。ここから駅に戻る。聖域、御谷にめぐらされた、人と自然をつなぐ道。ここは、時おり今日のような手入れをすれば、多様な生物がすむ明るい森への掛け橋となる。しかし過度に利用して土を踏み固めれば、植物の生育を抑える原因ともなる。御谷の道のもつ意味は、今後の私たちの行動が決めていく。
-DATA-
- 場所:
- 御谷山林 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-16
- 交通:
- 鎌倉駅より徒歩
- コース:
- 鎌倉駅より小町通り、鶴岡八幡宮西端を直進(徒歩20分)→神奈川県立近代美術館分館向かいのわき道を直進(徒歩15分)→突き当たりの階段を上る(徒歩7分) 1.ハイキングコース右折(南下)→徒歩約30分で鎌倉市立第二中学校のグラウンドわきへ 2.ハイキングコース左折(北上)→徒歩約20分で西御門住宅地の四つ辻へ
- 駐車場:
- 無し
- トイレ:
- 鎌倉駅より先コース上には無し
- 参考文献:
- 御所見直好『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983 浄明寺太郎『鎌倉なんでもガイド』金園社
- 連絡先:
- 財団法人 鎌倉風致保存会事務局 TEL 23-6621 URL http://www.fsinet.or.jp/~fuhchi/
- その他:
- コースの山道はわかりにくく、始点・終点には急坂がある。山歩きに慣れた人と行動を。
Bowen島 Killarney湖ハイキング
ウエストバンクーバーの先に浮かんだこのファンキーで小さな島、Bowen島を訪れるのはいつも楽しい。3,000人程の住人達は、この5,260ヘクタールの岩のかたまりを家と呼ぶ。バンクーバーから手軽に訪れることのできるBowen島にはカヤッキングの機会を加え、とても良い三つのハイキングトレイルがある。全てのハイキングはフェリー乗り場からスタートでき、ほとんど年中アクセスできる。ハイキングの後、惜しくもフェリーを見逃してしまった?!でも捨てたものじゃない。パブ、Bowen Island Neighbourhood Pub ((604)947-2782) があなたを歓迎してくれる。そしてカプチーノ、アイスクリームなどハイキングの後のご褒美はフェリー乗り場から少し歩いたところの店にある。ハイキングで疲れていてもそんな理由ならもうひとがんばりできるから不思議だ。
Killarney湖
フェリーから降りるとまっすぐGovernment Roadを上り、右手のGardena Driveを曲がる。そこにあるのが今は政府のオフィスとなっており、1924年に建てられ歴史に残るSteamship Company Storeである。模倣の英国チューダー様式建設はかつて、このプライベートリゾートの装飾品だった。このプライベトリゾートには180のコテージとダンスパビリオン、そして800人以上が宿泊できる誇らしげなキャンプグランドがあった。こうしてみるとキャンプの概念はあの古き良き時代からかなり変わってきているようだー。
Crippen地区公園の入り口はその店のすぐ裏だ。Mapleトレイルに沿って公園入り口の左手。しかしまずは潟やあぜ道を散策したいものだ。晴れ渡った日、あぜ道からはHowe Soundの入り江に広がる山々の素晴らしい景色を見せてくれる。数分歩くと Mapleトレイルは、滝のBridal Veil Fallsそして魚のための複雑なネットワークの階段(川をさかのぼるサーモンのために作られた川の中の階段)を見ることができるHatcheryトレイルに合流する。毎年10月、11月にはこの川で産卵をするコーホーサーモンを探してみよう。
Millers Landing Roadを渡り、森をぬけHatcheryトレイルに沿って行くか、または右折し道に沿って数百メートル行きKillarney Creekトレイルの入り口を見つけよう。Crippen地区公園はどこも目印がはっきりなされているので安心だ。Hatcheryトレイルは少し込みいっている。Meadowトレイルに交差する前に、穴のあいた巨大な杉の枝株を過ぎTerminal小川に沿って歩く。左に行くとTerminal Creek孵化場だ。右は乗馬で楽しむ人達をすぎ、アザミが一面に広がる野原の向こう、Killarney Creekトレイルにでる。Killarney Creekトレイルで左に折れ、そびえたつハンノキの横を通って行こう。トレイルは二手に分かれるが、どちらを取ってもあまり変わりはない。この説明で行くとKillarney湖を左回りに行くことになる。Hatcheryトレイル、Killarney Lake Loopトレイル共に地盤がゆるいことからマウンテンバイクや乗馬をする人達には公開されていない。
元来、飲料水用に作られた沼地のような湖、Killarney湖は現在、様々な水鳥や小さな生き物たちのよりどころとなっている。湖畔はゆりで覆い尽くされている。沼地の端にあるモンセンゴケをむしゃむしゃ噛んでいる小さな虫達にも目を向けてやろう。1.5Kmほどループを入ったところで、岸の沼地を見晴らせる場所を見つけるだろう。500m先は、湖の頭部で板敷き道(4Kmのループの半分の地点)になっている。昼食にもってこいの場所だ。森に戻り、トレイルの最終地点でピクニックエリアとダムに達する前、また他の板敷き道と見晴台に出くわす。今来た道をそのままフェリー乗り場に戻るのも良し、湖の左側のMount Gardner Roadに沿っている坂道を行き、島一周を制覇するのも良し。
-DATA-
- 場所:
- ウエストバンクーバーの先に浮かび、バスとフェリーでバンクーバーから1時間半ほどのところに位置する。
- アクセス:
- Bowen Islandには水上タクシーもあり、連絡先はCormorant Marine (604)947-2243、(604)250-2630または、Bowenタクシー(604)947-0000。
- 駐車場:
- Horseshoe Bayにあり
- トイレ:
- Horseshoe Bay、フェリーの中、フェリー降りたところ(Bowen島)
- Horseshoe Bayへの行き方:
- バンクーバーのダウンタウンからはGeorgia Streetの北側のどのバスストップからも257番Horseshoe Bay Expressをつかまえることができる。Expressバスはいつも込み合っているので、かさばるバックパックを持って乗ると大変な目にあるかもしれない。30分おきともう少し頻繁に運行されている250番Horseshoe Bayは同じ場所に行くのに1時間程かかる。West Vancouver Blue Busの最新情報は(604)985-7777で。平日、朝6時半から夜8時、週末、休日は朝9時半から6時半まで。
■Killarney湖
- 難易度:
- 容易
- 距離:
- 8Km
- 所要時間:
- 2.5時間
- 標高差:
- ほとんどなし
- 季節:
- 年中
◆Horseshoe BayからNanaimoへのフェリー
フェリーサービスは1時間に1本
*は日曜日のみ
- ■Horseshoe Bay発
- 6:30am 8:30am 9:30am* 10:30am 12:30pm 1:30pm* 3:00pm 5:00pm 6:00pm* 7:00pm 9:00pm
- ■Departure Bay発
- 6:30am 7:30am* 8:30am 10:30am 11:30am* 12:30pm 3:00pm 4:00pm* 5:00pm 7:00pm 9:00pm
◆Bowen島(Snug Cove)からウエストバンクーバー(Horseshoe Bay)へ
所要時間: 20分
- ■Bowen島発
- 5:45am(2) 6:35am 7:35am 8:30am(1) 9:25am 10:50am 11:40am 12:30pm 3:00pm(2) 3:55pm(3) 4:50pm 5:50pm 7:20pm 8:10pm 9:45pm
- ■Horseshoe Bay発
- 6:05am 7:00am 8:00am(1) 8:55am(3) 9:50am 11:15am 12:05pm 2:30pm 3:30pm 4:25pm 5:25pm 6:25pm 7:45pm 8:35pm 9:25pm
(1)=日曜以外の毎日運行
(2)=日曜と祝日以外の毎日運行
(3)=水曜は危険な貨物の運搬に差し替えられるため、乗客は乗れない。
ププ・スプリングズ
『透明度世界一の泉』が、実はニュージーランド(以下NZ)の、しかも我がネルソン地方にある。とはいえ『世界一』なんていうキャッチコピーほど当てにならないものはないってのも事実。データによるとこの泉の湧水量はNZ一番(毎秒7~21t)を誇り、世界中でも約90番目にランキングされているらしいのだが、透明度に関するデータは残念ながら見当たらない。世界一っていうのは世間で言われているに過ぎない話らしい。しかしながら、その透明度と美しさは特筆すべきものがあり、我が目で見れば「なるほど、こりゃ世界一だ!」と唸らざるを得ない説得力を持つ。にも関わらず、これまた例によってあまり宣伝されていないために旅行者には案外知られておらず、すぐ近くまで行きながら素通りされる方も少なくないようだ。「 トレッキングレポート」と呼ぶには少々物足りないショートウォークではあるが、絶対に見逃せないポイントである事も確かなので、ご紹介することにした。なんせ私なんて毎月のように出掛けてしまう場所なのだ。
さて、その泉の名は『ワイコロププ・スプリングズ』。長いので地元でも通称の『ププ・スプリングズ(以下ププ)』で通っており、フルネームをキチンと言える人はあまりいない。ネルソン地方の北半分は『ゴールデン・ベイ』と言われるエリアで、その中心の町がタカカ。ネルソンから約2時間のドライブは、海あり牧場ありカルストの山からの見事な景観ありのバラエティに富んだ行程で、それだけでも十分に楽しい。タカカの小さな町を通過してものの10分程度で、ププの駐車場に突き当たる。トイレ以外には売店も入り口ゲートも何もないので、日本人としては拍子抜けしてしまうかもしれない。これが日本なら『ププの銘水』『清酒ププ』などの売店が軒を並べるところなのだが・・・。
駐車場から道を下り始めると、すぐに右手に翡翠の如き小さな清流が現れる。この川が間もなく世界一との触れ込みの泉と合流し、先ほど渡って来た川となる。いやがうえにも期待が高まる。坂を下り切ると、小さなノートが置いてあるデスクが現れる。実はこれ、ダイヴァー用登録ノート。この清冽な泉は、なんと条件付きながら誰でも自由にダイヴィングが出来るのだ(ただし普通の水泳は厳禁)。水温が低い(通年11.7℃)のでそれなりの装備が必要なため、私自身はまだ挑戦した事はないが、時折アクアラングを背負って泉の中を遊泳しているダイヴァーを見かける。つくづく羨ましい・・・。
この地点から道は左右に分岐する。周回路になっているので、どちらから行っても構わない。メインの泉に近いのは右のルート。左から行くともう1つの小さな泉『フィッシュ・クリーク・スプリングズ』を経由してNZの自然林の中の散歩をしばらく楽しんだ後に、メインの泉に向かう事になる。今回は左手から行く事にしてみよう。最初は明るいマヌーカ(NZティートゥリー)の林がしばらく続くが、程無く清流に再度ぶつかる。これがフィッシュ・クリーク・スプリングズ。泉というよりは川といった程度の可愛らしい規模のものだが、水はやはり恐ろしく清冽。清流の水面すれすれに渡された木の通路の上を歩いて渡ることになるので、靴を脱いで足を水につけてみる。脳天まで痺れるような冷たさを我慢して川底に立つと、くるぶ� �を洗う水がなんとも気持ち良い。世界一の泉を見る前からすでに幸せ一杯だ。これ以上のシロモノとは如何なるモノや?ここから先はNZ名物のレインフォレストの気分を味わわせてくれる、シダとブナの暗い林。しかも憎い事に、色んな種類の木やシダが次々に現れてくれるので、「こいつは植物園か?」ってな気分にさせられてしまう。そうやってゆっくりゆっくり林を楽しみつつ歩いてもせいぜい20分程度で、ついに『世界一の泉』に到着だ。
これを見た瞬間の感想をどう表現しよう?「息を呑む」では少々物足りない。むしろ「呆れ返る」「戸惑いを覚える」と言った方が近いかもしれない。それほど我々の常識を超えた景観が、眼前に広がっている。透明度は少なくとも2、30m以上はありそうな事が一目でわかる。でも実はこの泉、深さは数mに過ぎない。じゃ、なぜ数十mも透明度があると分かるのか?実は水上に設けられたプラットフォームに大きな鏡が2枚潜望鏡のように仕掛けられており、水中の風景を水平に眺める事が出来るのだ。遥か彼方で水面から覗く葦の群生が、水中を覗く鏡でもクッキリと確認出来る。泉の底では方々で湧き水が砂を踊らせ、時折60cm を超えるトラウトが鏡の前を横切ったりする。NZ名物の2mを超えるお化けウナギが姿を見せる事もあるかもしれないし、アクアラングを背負ったダイヴァーが手を振ってくれる事もある。
自然豊かなNZの中でもこの泉だけは昔からやはり別格だったらしく、古くから現在に至るまで、NZ先住民マオリ族の聖地となっている。DOC(NZ自然保護局)の管轄となっている現在も、マオリの聖地を守るために厳しい規制が設けられており、その結果我々もこうして腰を抜かすほどの美しい水を堪能する事が出来ている。はやり自然保護のためには相当に厳しい姿勢で臨まなくてはならないことを、この泉は無言のうちに我々日本人に語り掛けてくれているようだ。釣りや水泳、キャンプは厳禁。許可されているダイヴィングの際にも、色々と細かいルールに従わなくてはならない。注意書きをよくお読みになった上で、ルールは厳守のこと。彼等の文化は尊重しよう。ま、難しい事はさておき、近くにお越しの際は是非ともお立ち寄り� ��。ゆっくり歩いても1時間程度の散歩道で、これだけのインパクトのあるガイアの息吹に出会えるなんて、滅多に体験出来ることではない。車椅子用の別トラックもあるので、下半身の不自由な方もこの奇跡の泉をその目で見ることが出来る。そして、もしあなたにダイヴィングの心得があるならば、迷わず道具を調達して是非とも挑戦を!
-DATA-
- 場所:
- ププ・スプリングズ - ゴールデン・ベイ中心の町タカカから約7km、車で10分程度。
- 交通:
- ・車をお持ちの方 - ネルソンより国道6号線、60号線を経てゴールデン・ベイ地方の中心の町、タカカへ。タカカの小さな町を通過して5分ほど走ると、美しい川にかかった橋を渡る。この橋を渡り終えてすぐのところに、左に入る道がある。これがププへの道。案内標識が出ているのですぐ分かるだろう。この道に入って数分間走ると、左手に小さな橋が現れる。左折してこの橋を渡り、さらに数分行けば突き当たりがププの駐車場。ネルソンから車で約2~2.5時間。
・車をお持ちでない方 - タカカ周辺の宿泊施設の中にはププ・スプリングズへの送迎をしてくれるところも多い。さらにダイヴィングのためのウェットスーツやマスク、シュノーケルの貸し出しをしてくれる宿もあるようなので、予約時に確認すると良い。または、タカカの町の自転車屋が自転車のレンタルもやっている。7kmの道程なのでゆっくり走っても1時間とかからないだろう。 - 駐車場:
- あり(無料)。
- トイレ:
- 駐車場にある。
- 注意事項:
- ・本分中に記した通り、マオリの聖地なので、案内板に書かれた注意事項は厳重に守ること。
・水泳、釣り、キャンプなどは禁止。
・ダイヴィングの際はキチンと記帳し、特にルール厳守につとめること。
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